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村長室から

不戦の像

『不戦の像』の建立について

不戦の像

~ 平和への誓い新たに ~

ここ村境の「別れの松」は、過ぎし戦いの日大命を受けた若者たちが一言の抗弁も許されずに村民総出の歓呼の声に送られて愛する人々と最後の言葉を交わしたまさに戦争の悲劇が凝縮した場所であります。
当時出征するということは、死を決意することであり肉親に対する断ちがたい愛情と国に対する忠誠のはざ間に苦悩しつつ征途についたのでした。送る者送られる者「達者で帰って」という切なる願いも空しく、多くの若者が再び「別れの松」の下に姿を見せる事なくその尊い生命を国に捧げたものです。
見送る母親の表情には当時軍国の妻軍国の母の名のもとに万斛の思いを秘めて透徹した諦観の相を感じます。母親の手にすがる男の子は「お父さん早く帰って」と必死に叫んでおります。そして母親の背中に無心に眠る幼子は二度と父親の顔を見ることはできません。何という非情の世界でありましょう。さらに残された家族のたどった戦後の苦難の歴史を思う時この悲劇は断じて繰り返してはなりません。
戦後四十年、往時を回顧し村民相はかつて戦没者に対する鎮魂と平和への悲願をこめて、ここに「不戦の像」を建立いたしました。

昭和62年9月23日
南相木村

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